究め道

色々感じた事を書くブログです

ヒヤリハットという考え方

能登半島地震、そして羽田空港の飛行機事故という

何とも表現しがたい年明けになりましたが、

今回は『安全』という部分について少し考えようと思います。

 

先日ですが、元請会社の年始の集まりに参加したんですが

管理会社でもあるので安全に対する意識の高まりは年々感じており

社長の挨拶でも羽田空港の事故の話に触れながら

「事故のない1年に」という言葉を強く意識している様に思いました。

 

羽田空港の事故については確かにセンセーショナルなものでしたが、

人命を左右する重大事故が起きるのには前触れがあり

我々の業界では『ヒヤリハット』という表現をします。

正確にはハインリッヒの法則というのですが、

命名的にこちらの方が伝わりやすいので以後の文章でも

こちらを使いたいと思います。

 

ヒヤリハットは、1件の重大事故が起きる裏側に

29件の軽微な事故、300件の事故未遂(ヒヤリとした、ハッとした事柄)が

起きている、という話です。

単純に言うと、1件の重大事故は突然起きるものではなく、

もっと前に気付いて対策をすれば防げるものなのだ、という話ですね。

羽田空港の事故でヒヤリハットの内容を考えるのは一般人には難しいですが、

飛行機の離着陸の件数の多さは国際的にも有名なので

電車の様にタイムスケジュール通りに動かすのも難しいでしょうし

便利さを追求する反面、安全の軽視がマヒしていた可能性はあるのかな、と。

それを享受していた一般人も同様で、

今後対策として安全の為に飛行機の便を減らす、と言われたとしても

ある種仕方のない話なのかもしれません。

それだけ『安全』というのは忘れがちでありながら

軽視出来ない重要な要素なのです。

 

自分の業界でもコンプライアンス意識の高まりは日々強まっていますが、

完璧な人間ばかりではないので

一方(コンプラ)に意識がいく事で他(安全)が疎かになる

という事も充分にあり得る話です。

自分が勤め始めた時の事ですが、

現場で働く方に「化粧室の洗面台にある鏡の上部が拭けない」と

悩み相談を受けた事がよくありました。

その時、決まって自分が答えていたのは

「手の届く範囲だけ作業していただければ大丈夫です」と言っていました。

多くの人が「それではクレームになるのでは?」と質問されましたが

相手に謝罪をしつつ「本社の指示です」と答えて結構ですと。

腑に落ちない人もいましたが、過去に洗面台の上に登って作業し

その作業者が落下して怪我をした事があった他社の事例を紹介した上で

最も困るのはクレームよりも自身の怪我です、と諭しました。

 

入社して20年くらい経ち、今では昔とは考えも人材も変わっていますが

流石に上記の様な質問を受ける事はなくなりました。

会社に黙って作業しているかどうか迄は追い切れませんが、

社員や作業者だけでなくお客様の理解も深まっていると思っています。

一例を挙げましたが、ヒヤリハットを防ぐというのは

一言で表すならば『意識の改革』です。

これは、今日から実践する事も出来ますし

逆に一生出来ない可能性もあるものだと思います。

時代の変化も重なって理解が深まった上記の事もあれば

逆に働いてしまう事もあるもの。

だからこそ、慣れ合いにならずにいなければならないのです。

 

羽田空港の事故は本当にショッキングなものでしたが、

元請会社の社長の挨拶でもある様に

継続して事故を起こさない為にも

対岸の火事だと思わずに仕事を考えていこうと思います