究め道

色々感じた事を書くブログです

白羽の矢が立つ

野球好きとしてWBCの優勝奪還は胸が熱くなる展開でしたが、

チームを率いた栗山監督が勇退し、

後任人事として井端弘和氏が監督を引き受ける形になりました。

現役時代はアライバコンビとして名を馳せた名手。

打撃面での成績は派手ではないものの、優れた野球脳を持っていたので

チームにとってはなくてはならない存在でした。

2013年のWBCでは、追い込まれた状況で卓越した技術を見せ

日本の窮地を救ったのは野球ファンにとっては語り草。

球団の監督としては経験がありませんが、アンダー世代で指揮を取った経験はあり

自分には突飛な起用ではないと感じました。

 

ただ、WBCがスタートした2006年から言われ続けているのが

監督を引き受けるメリットのなさ。

球団の監督との併用は激務故にNG。

代表監督は任期が長いので、その間の他の仕事は受けられず

監督就任時の収入自体も決して高くない、というのが収入面でのデメリット。

加えて、優勝経験があるだけに周囲の期待というハードルの高さ。

少しでもミソが付いたらキャリアに傷が付くのもありますし、

そうなってしまうと以後の再就職が難しくなるのも一理。

簡単に言うと『優勝して当たり前。優勝しないと袋叩き。しかも安月給』

というのが知られてしまっているので、

いくら"名誉の為"とは言ってもリスクが大きすぎる

というのは引き受ける側からすると納得の状況です。

今回の監督就任迄も、複数の候補の人に断られているという報道があるので

井端氏からすると火中の栗を拾う形で、個人的には少々可哀想な気持ちにもなります。

就任したからには頑張って欲しいですし、

あまりに奇抜な采配や人選をしなければ心から応援したい気持ちですが

心中を察するに余りある、というのが正直なところです。

 

今回のWBCでの戦いを観て感じたのは、各選手の準備の大変さもさる事ながら

人選の難しさもあるんだということですね。

ヌートバーが初選出された上に結果を残したのは喜ばしかったですが

選手自身も人間ですし、日本の為に頑張りたいと思う選手もいれば

それよりも所属球団でシーズンを戦い抜く事に重心を置く選手もいる訳で。

活躍しないと叩かれるのは目に見えていますし

WBC後に不調に陥る選手たちを今迄も数多く観て来ただけに

出場要請を断る気持ちも理解出来ます。

その部分を栗山氏は充分に理解した上で人選を行ったり打診していたと感じました。

井端氏が優秀な選手であり、引退後も野球に携わっていたのは知っていますが

これはどちらかというとマネジメントの話であり

野球の話とは異なる部分なんですよね。

それがやりがいでもあり、枷でもあるところかなと思います。

 

自分はスポーツが好きですし、特に野球に関してはずっと関心を寄せています。

だからこそ見えてしまう部分はありますし

純粋に応援出来なくなってしまう気持ちにもなる時があります。

いちファンとして出来る事は見守る事くらいなんでしょうが…。

人間というのは複雑なものですね