究め道

色々感じた事を書くブログです

自分だけが利する、という構図

全国に給食事業を展開する広島に本社がある会社が

資金難を理由に近日中に破産申請をする、というニュースを観ました。

それだけなら珍しい話ではない様に感じますが、

仕事を受けている現場の学校等が閉鎖する事態になってしまい

それを知らなかったのか?現場で混乱が起きているとか。

偶々かもしれませんが、それがテレビのニュースで報道されたので

自分も知るキッカケになりました。

 

下請けイジメはダメだと厚生労働省が以前から発信していますが、

具体的なペナルティとして下請取引を適正に行っていない

大企業を公表するという手段に出ました。

これはメンツを潰されるという形に見えますが、

公表されてしまうと以後の企業間取引や銀行からの対応が確実に悪くなってしまうので

メンツ云々だけの話ではなく、今迄通りとはいかなくなってしまうのです。

その為、自分の取引先から今迄一度も言われたことがなかった

「取引について相談に乗らせていただきます」というメールが来たので

その時はかなり驚きを感じました。

中小企業にしっかり利益が行き届く様にする

という国の方針は知っていましたが、

しっかり監視してくれているというのを実感する出来事だったので

個人的には一歩進んだんだな、と思っています。

 

ただ、これはあくまで一般的な話ではなく限定された話です。

下請法という法律に違反する企業を公表したに過ぎず、

そもそも下請法が定義する範囲が狭いのが実情です。

所謂『川上・川下』の関係が完璧に是正された訳ではなく、

川下側になる中小企業からすると

「風穴が空いたのは事実だけど、我々に恩恵が来るとは思っていない」

というのが率直な感想だと思います。

国として今後も継続すると共に、定義する範囲の拡大は願いたいところですし

実際に利益が末端まで行き届く様になるには相当の時間がかかると思うので

そこまで全員が辛抱出来るか、というのが焦点になるでしょう。

 

自分が中小企業側なので、その視点で話をさせてもらうと

再三に渡って請負金額上昇の正当性を訴えても

「だったら他に変える」という担当者の脅しを何十年も受けて来たので

心情としては「今更すり寄って来るのかよ」とか

「どうせ適当な理由をつけて値上げを断るんだろ」という気持ちですね。

この心情に大企業(元請側)が寄り添って考えてくれない限り、

本当の意味で中小企業側の利益にはならないと個人的には思います。

以前、下請法に関して大企業側の話を載せている記事を読みましたが

その場限りの自己都合しか考えていない様な内容だったので

笑わせんじゃねぇよ、という気分でしたね。

 

広島の会社が破産申請したニュースで

社長は「値上げ交渉したが受け入れて貰えなかった」と発言しているそうです。

それ以外の続報がないので判断のしようがない部分はありますが、

相手が学校だったり役所だったりするので

下請法の適用外なんだと思います。

だからこそ、にべもなく断られたんじゃないかなぁと想像しています。

仕事を突然放棄された様に映る人もいるかもしれませんが、

その裏で何があったのか?を考えるべき事案だと思いますね。

 

どの業種でも同じだと思いますが、新しい技術や革新的なアイディアを生み出しても

相手先の担当者に理解がないと受け入れて貰えないですよね。

プレゼンテーションの弱さを指摘する人もいるかもしれませんが、

技術を生み出す力と説明力は全くの別物ですし

そういった人材が枯渇しているのは今の日本に住んでいれば

簡単にわかる事だと思います。

寧ろ話を聞く側が理解をしようと真摯に耳を傾けず、

誰でもわかる様な「安さ」という視点にしか関心を向けて来なかったのが

悪いんじゃないの?と個人的には思いますね。

我々は何時でも話を聞きます、という方も居ますが

最初から重箱の隅をつつく様な否定する気満々の人が殆どでしたよ。

そういう人たちは相手にしなければ良い、という人もいるでしょうが

それを続けられる体力がないのが中小企業なんですよ、という話です。

 

仕事を依頼する側にとってコストに関心が高いのは当然ながら理解しています。

しかし、某中古車販売店の様な悪徳会社はそんなに世の中には蔓延していません。

仕事を全うするのに必要なコスト、会社を維持する利益率を考えた上で

相手が苦しくならない様な提示をしているケースが殆どなのです。

今で言えば、同じ事をしていても人件費の上昇と原材料の高騰で

同一金額で受ける事は不可能なミッション。

薄利な利益を更に削るか、新しい技術を開発して乗り切るか

或いは元請に金額の上乗せをお願いするか。

現実的に中小企業に残された選択肢はそれくらいです。

新しい技術は一朝一夕では出来ませんし、

金額の上乗せは長らく拒絶され続けてきた過去があるのです。

 

依頼をする側にも立ち止まって是非とも考えてもらいたい問題です