究め道

色々感じた事を書くブログです

知識と探求心が才能を超える

先日横浜DeNAに新加入したバウアーの話をしましたが、

その後も個人的に気になっているので

ネットの記事を見つけた時には読んだりしています。

すると、にわかには信じがたい様な話があったので

ここで少しだけ紹介します。

 

2020年のコロナ禍で短縮されたシーズンだったとはいえ

メジャーの投手部門で最高勲章とも言われるサイヤング賞を受賞した

バウアーですが、バッティングは苦手なんだとか。

自身のyoutubeでその様な事を言っているんだそうですが、

(自分は観ていないので知らないですが)

同じ競技であっても投手と野手は全く違うもの

というのを彼の発言から考えると改めて感じさせられますね。

だからこそ、大谷がやっている事は凄いことな訳ですが。

 

また、とある記事で読んだんですが、

バウアーの身体能力・運動神経はかなり悪いんだそう。

感覚的な話ですが、メジャーのスカウトの方曰く

AA以上の選手の中で、バウアーの能力は最も低いという説がある程。

アメリカの野球のレベルは上から順に

『メジャー・AAA・AA・A・ルーキー(もっと細分化されているが割愛)』

となっています)

一般人と比較すれば格段に高いレベルなんでしょうが、

スポーツを生業とするプレイヤーの中では平凡である

という事なんでしょう。

そんな選手が160km近くの速球を投げるなんて…

という疑問を以下で少し解説します。

 

バウアーはアマチュア時代に当時活躍していたティム・リンスカムに

憧れを抱いており、投球フォームを真似していた、という記述があります。

リンスカムは活躍期間こそあまり長くはなかったですが、

サイヤング賞を2回受賞する剛腕タイプの投手で

2000年代を代表する投手の1人である事は間違いありません。

そのリンスカムに憧れていたものの、プロ入りしてから程なくして故障を経験。

憧れた投球フォームでは長くプレイ出来ない事を悟ったバウアーは

バイオメカニクスを本格的に研究する事に。

バイオメカニクスとは、生物の構造や運動を学ぶ学問の事です。

一例を挙げると、『人間が座っている椅子から立ち上がろうとする時に

頭を前に動かしたりして重心を移動させ、立ち上がる動きをスムーズにさせる』

という様な話。

これを野球に応用すると、体重移動や腕の旋回等を連動させること、

ボールに如何にロスせずに力を伝えるか、というのを

徹底的に勉強した、という事ですね。

勿論、プロの選手なのでそういった勉強をしてきた人は山ほど居たと思いますが、

バウアーのしてきた勉強のレベルはプロの中でも突出するレベルだった

という事でしょう。

 

また、こういったアプローチをしている最中に

超が付く高性能のカメラが世の中に登場した事で

自身の投球フォームの解析が格段に進んだ、という記述もありました。

バイオメカニクスを学んでも、それを的確に実践するには

カメラという第三者の視点で確認する事も重要だったという事でしょう。

ボールのスピン量と回転軸の話は野球を知っている人だと

昨今でもかなり注目されるワードですが、

その解析が出来たら後は投球フォームに落とし込みをすればOK

という考えだった様で。

 

この様に言語的には理解出来ますが、イメージで言うと

1回の勉強で100点を獲りなさい、と言われているくらい難しい事だと思います。

自分の肉体を完全に理解することと、自分に合った投球フォームを探すこと、

そして寸分違わず再現する再現能力の高さ。

これらが全て揃っていないといけない訳で。

100回のうち1回出来ればOKではなく、100回やったら100回近く

出来る様にならなければプロにはなれないんですよね。

ましてや、サイヤング賞を受賞するくらいのハイレベルな再現が必要な訳で。

野球に限った話ではありませんが、アスリートに求められる最も重要な能力の1つが

この『再現力の高さ』とも言われています。

身体能力や運動神経が突出していなくても

知識や探求心が真にあれば出来る事を示したこのエピソードは

一般的に言われる『センス』を学術的に作り上げる事が出来る

というのを表す話ではないかなぁと思いましたね。

そして、その為に必要な事を練習して身につけるという

凄く逆算された考えだと思います。

 

ただ、自分がこう思った理由は他にもあって、

野球の投手というポジションは再現力が整えやすいんですよね。

野手は投手の投げたボールに対してのリアクションがベースになっていて

ある意味では自分主体では考えられないものなんです。

他のスポーツでも一緒で、サッカーだと自分のところにパスが来た際に

味方がどこにいるか?パスが来たボールは自分からみてどこにあるのか?

ボールのスピードはどうか?グラウンドが凸凹で跳ねたりしないか?

を考えると、やはりリアクションが必要になる訳で。

殆どのスポーツでリアクションが必要な中、野球の投手というポジションは

リアクションが殆ど必要ない、という意味で再現力が整えやすく

言い換えればバウアー自身が生き残る事が出来る数少ない場所

だったのかもしれない、と思ったんです。

だからこそ、徹底的に研究し、生き残る術を学んだんじゃないでしょうか。

バッティングが苦手というエピソードを載せたのも

こういった理由が考えられると思ったからです。

とはいえ、半端ない探求心がなければ達成出来ない話ではあるんですけどね。

 

こうやって紐解いていくと、彼のエピソードは本当に人間臭くて

もっと応援したくなってしまったな、と思います。

勿論、好意的な見方や記事を目にしているからそう思うのかもしれません。

ともかく、色々な意味で異端な存在であるのは間違いないですし

それが新しい分野を切り開くキッカケになるので

バウアー自身が結果を残す事でもっと証明してもらいたいな

と個人的には思います