究め道

色々感じた事を書くブログです

起爆剤となるか

今年、MLBでサイヤング賞という日本でいう沢村賞

受賞した事のあるトレバー・バウアーが横浜DeNAに加入しました。

年齢的にもまだ下り坂になる前なので、

メジャーの超一流プレイヤーが日本のプロ野球界に来た

というのは、個人的にはかなり衝撃的な出来事です。

ここまでシーズンの半分を経過するかどうか、というところですが

横浜はセリーグ2位という好位置。

バウアーの加入が無関係だとは言い切れないと感じています。

 

彼の凄いところは、理系のオタク気質なエピソードが多いこと。

カリフォルニア大学という世界的に有名な名門校を卒業している為

様々なアプローチがとにかく独特なんです。

現在の野球界ではスタンダードになりつつある投球時の

スピン量・回転軸の確認を練習から積極的に取り入れた、という話。

これによって野球界のトレーニング方法が劇的に変化した、という逸話です。

これはダルビッシュなど日本のメジャーリーガーだけでなく

日本に在籍する日本の投手陣にも好意的に受け止められており、

その先駆者が来たという事で横浜以外の選手もバウアーにコンタクトを取る

選手がたくさんいた、と話題になりました。

突然機械を持ち込んで練習するなんて、変わっているというか

変人扱いされる様なエピソードですが

その性格が良くも悪くも目立つタイプである事は間違いありません。

この性格故なのか、MLBで齟齬が生じた事が何度もあり

メジャー球団が契約をしなくなって日本に来たので

何とも数奇な運命、と言わざるを得ないですね。

 

また、野球とは全く異なるエピソードとしてポケモンがとても好きで

「オタクでも野球は出来るんだというのを証明したい」という

笑ってしまう様な話も持つ人物。

今シーズンも、自身の休養日に観客席で試合を観戦し

観客が押し寄せた事で逃げる様に退散するなど

話題には事欠かない選手です。

 

さて、そのバウアーですが、先日の登板した試合で

味方の守備に対して激高するシーンがあったそうで。

自分はその試合の最期だけを観ていたので、彼の登板シーンは観ていなかったですが

激高したシーンだけを切り取ると投手としての心理も理解する人も居ますし、

アレはダメだ…と諫めるコメントを出す人も居ました。

激高の伏線としての部分に触れる人も居ましたが、

これらを総括した個人的な感想を以下に。

 

最近スポーツでアンガーマネジメントという考え方が

少しづつ認められる様になったと思っています。

ダメだった時に怒りを爆発させ、発散して次のプレーをいつも通り行う

一連のルーティーンの様な行為です。

テニスでは結構有名ですね。

ただ、これは個人競技ではないので、団体競技においてアンガーマネジメントが

適切かどうかは不明です。

とはいえ、怒りを抑えようとしてなおおかしくなるくらいなら

ダメなものをダメとハッキリ表現する事自体は悪い事ではないかな、と。

次の打者をしっかり抑えたという事実を考えれば、

瞬間沸騰器なのは意見が分かれるところでしょうが

評価しても良いのでは?とは思いました。

(メジャー在籍時、自身の投球の不甲斐なさから交代時にボールを

あさっての方向に大遠投する等、擁護出来ない一面があるのは事実です)

 

自分が最も重要視した部分としては、降板後に味方の応援をしっかりしていた事。

緩慢なプレーで怒りを表現し、その後不貞腐れてしまったら

評価出来ないことだと思いますが、

上のアンガーマネジメントに触れたのは、彼の降板後の姿を見たので

アンガーマネジメントだったのでは?と感じたんです。

ダメな事に対してしっかりと伝える必要はあるでしょう。

寧ろ、人間性として大切なのはその後で

それ以降知らんぷりするのか、それとも「一緒に頑張ろうぜ」となるのかによって

支持されるかどうかが決まると思います。

激高シーンだけを切り取ると、彼の性格からしても前者か?と疑われそうですが、

その後の振る舞いを見る限り、自分は後者だと思いました。

それは「優勝する野球が出来ていない」というコメントを

率直に受け取るとしたら、後者の解釈となるでしょう。

(言葉の真意を汲み取って欲しくて皮肉を言っている様には

個人的には見えなかったです)

 

横浜もそうですし、近年のプロ野球選手のスタイルでもありますが

勝利する・優勝する為に互いに意見をぶつけ合う事を

あまり良しとしない風潮を感じます。

個人事業主という言い方もありますし、野球という球技の特性上

そこまで迎合しなくてもプレー自体は可能なのがそうさせているのかもしれませんが

しっかりと意見を持ち、それを伝える事や

ぶつかり合った意見を昇華して方向性を定める事は

寧ろプロフェッショナルの姿としてあるべきものかと。

ただ単に我儘を言うのではなく、発言に信頼を持たせる為に

自己研鑽もしっかり行うというのはとても素晴らしい事だと思いますし

それが出来るチームというのは本当に強いと思います。

1990年代の西武然り、2000年代のダイエーソフトバンク)然り。

バウアーの言動がピックアップされていますが、

技術面だけでなく、他の部分でも彼が良い影響を今後もたらすとしたら

横浜はもしかするとこれから最盛期を迎える事になるのかもしれません。

しかし、それは現在所属する選手や首脳陣次第ですし、

バウアーが次年度以降いなくなる可能性もあるので

その時にどうなるか?というのは歴史が証明してくれる事になるでしょう。

 

ともかく、個人的には彼の一挙手一投足を羨ましく見ています。

これが自身の贔屓にしている西武に今最も欠けている様な気がしているので。

化学反応に期待したいところです