究め道

色々感じた事を書くブログです

重圧からの解放

今日はプロ野球のヤクルト・村上の話題を。

ここでも過去に村上の事を載せた事がありますが、

高卒5年目の22歳が9月13日にシーズン日本人最多ホームラン数となる

55号を放って以降、周囲の期待もあってか本塁打が出ないまま昨日の最終戦に。

本塁打以外にも首位打者打点王の三冠のままシーズンを終えるには

3打席しかチャンスは残されていませんでした。

(ヒットが出ないまま4打席凡退すると首位打者を明け渡す計算だったので)

第2打席でヒットを放ち、ほぼ三冠王を手中に収めると共に

第4打席まで打席に立つ事が出来る様になると

その第4打席、そして結果的にシーズン最終打席に

56本目のホームランを苦しみ抜いて放ちました。

打った瞬間に分かるその行方に本人は心の底から喜ぶガッツポーズ。

リアルタイムでは観ていませんが、本当に凄い瞬間だったと思います。

 

昭和の時代は三冠王が6名いました。

王さんやノムさんなど野球をやった事のある人ならわかる人ばかり。

圧倒的な打棒がなけば達成出来ない記録ですが、

平成では当時ダイエーだった松中が1度記録しただけ。

投手の分業が近年では理解されてきていますが、

投手のレベルが上がった事で結果的に野手の役割も細分化された様に

自分は感じました。

昔から打順によっての役割の違いは言われていましたが、

状況に応じたケースバッティングも求められる現代野球では

単純にヒットを打つ事だけを追求するものとは違うので

それによって1人でタイトルを独占する事が難しくなったと思います。

(圧倒的な能力を持つ選手が1人ではなくなった、という解釈の方が

もしかしたら正しいかもしれません)

松中以降暫く三冠王が誕生しなかったので、

「もう三冠王は出現しないのではないか?」と言われたほど。

だからこそ、村上の価値は相当なものだと考えて良いでしょう。

22歳という若さ、ペナントレースを制したチームで、

という点も彼の将来性や貢献度を見る上で外せない要素ですし、

本当に夢が広がる選手だと思いますね。

 

同一シーズンでのホームラン数が55本を超えたのもまた素晴らしいです。

王さんが記録した1964年以降、55本に到達する選手は外国人のみ。

そうであるが故に、記録を塗り替えられない様な忖度が度々あり

その度に物議を醸していました。

最多ホームラン数はバレンティンが2013年に驚異的なハイペースで量産した為

勝負を避け切れずに60本まで記録を伸ばしましたが、

それまでは日本プロ野球界では不滅の記録でしたし、

その記録を超えて欲しいと各球団の期待の新人に

背番号55を付けさせる事も。

村上もその1人で、球団の想いを実現させた56本目は

新たな扉が開く瞬間の様にも感じました。

若い選手で素晴らしい才能の持ち主の話は以前にもしましたが、

プロ野球ファンとしてその時代の野球を観られる事は至極の幸福です。

メジャーで活躍する大谷だけでなく、

新たな楽しみを提供してくれた彼らに感謝です。

 

記録は抜かれる為にある、なんて言葉を目にしますが

記録は本当にわかりやすい指標。

それをモチベーションに頑張る選手もいる訳で。

昔の野球とは質が違う、なんて話をこねくり回す事はせず

今は素直に賞賛したいところです。

 

今は野球でもWBCの様な世界大会が行われる様になった時代。

日本代表ともなるとある意味名誉職に近いものにもなりますが、

妄想の中で度々話題になるのが「歴代最強ベストナイン」というもの。

時代や全盛期の長さ等も加味すると意見は様々あるでしょうが

今回三冠王になった村上は、いずれこの話題の俎上に乗る事になるでしょう。

素人に出来る事は、こういう話題を肴に盛り上がるくらい。

本人には、自身にしか見えない『我が道』を歩んでもらいたいですね