究め道

色々感じた事を書くブログです

心の置き場

今日は将棋の話を。

藤井聡太6冠が名人のタイトルをかけて渡辺竜王と対戦していましたが

昨日4勝1敗でタイトルを奪取。

現在の将棋のタイトルは全部で8つですが、

これで7冠となりました。

残すタイトルは王座のみで、全てのタイトルを1人で独占すると

1996年の羽生善治さん以来2度目の快挙となります。

(因みに、当時は叡王がなかった為7冠でした)

 

以前にも同じような事を載せたかもしれませんが、快挙ですので今一度。

将棋のタイトルにおいて最も権威があるのが竜王と言われていますが、

名人はそれに並ぶ格と最も古くからあるタイトルという事で

将棋好きの方からすると「名人こそNo1」という方も居るくらい。

その理由は、挑戦権を得る迄の道のりが非常に険しいから、なんです。

名人戦の挑戦権を得るにはプロ棋士の中で最高ランクとなる

【A級】に属していなければなりません。

A級は全棋士の中で10人しかなる事が出来ないクラス。

藤井さんがA級に昇格したのが去年の話で、

入れ替わりで降格したのが29年間A級に在籍していた羽生さんだったので

いよいよ世代交代の時期なのか…と当時は言われていました。

当時の話は割愛しますが、名人戦の挑戦権を得るには

このA級10名のリーグ戦で1位にならなければならないのです。

藤井さんはA級昇格1年目で勝敗数で並ぶプレーオフながら1位になり、

名人戦の挑戦権を得ていた、という訳です。

将棋界のトップ10が相手の研究・対策をガッチリしてるので

体調等で余程調子が悪いなんて事がなければ、実力が拮抗しているので

誰が挑戦権を得るか(1位になるか)は読めないものなんです。

例えるなら、プロ野球が開幕する前に優勝予想をするくらい難しいですね。

(当てる人もいますが、外れる人が殆どですよね)

それを1年で突破し、タイトルも奪取するのは本当に凄い事。

他の棋士が一生懸命走っている時に、藤井さんは新幹線で突き抜けている

くらいのスピード感でしょう。

 

彼の実力の源になっているのがパソコンによるAI将棋を

自身の勉強に積極的に取り入れている

というのは様々なメディアで紹介されていますよね。

10年前までは将棋の難解さゆえパソコンが棋士を上回る事は

考えられないとすら言われていましたが、

AIとプロ棋士が最後に対戦した2017年の電王戦では

A級のプロが敗北し、他の棋士も太刀打ち出来ないレベルに到達した事を

認めていました。

他の棋士も棋力を上げる為に活用していると思いますが、

藤井さんがその分野において最も研究を重ねているのが

現在の将棋界の力関係と無関係だとは言い切れないでしょう。

 

現在8大タイトルのうち7つを藤井さんが獲得している現状からすると、

素人の自分から見ると、他の棋士も尽力していると思いますが

「藤井一強時代」なのかな、という様に感じます。

そうなると難しいのがモチベーションの維持かな、と。

どの仕事・競技においてもライバルという存在は貴重なもの。

ラソンで1人で走るとペースがわからなくなるのと一緒です。

世界記録を出す為にマラソンにはラビットという伴走者が必要なのは

今では常識とも言える話。

藤井さんに今後強力なライバルが出現する事が最も望ましい事ですが

(羽生さんには森内さんというライバルがいたのは有名な話です)

そういう人材が出て来なかったとしたら

何をモチベーションにして戦えば良いのか

わからなくなる日が来るのではないかと個人的に危惧しています。

所謂天才故の苦悩ですね。

彼に対する周囲の期待は、恐らく青天井でしょう。

将棋そのものとは違うギャップに苦しむ姿は出来れば見たくないもの。

その為にも、今後の将棋界で期待したいのは

他のA級棋士の逆襲か、それともニューカマーか。

ファンを楽しませてくれる様な高みを見せ続けてくれる事を

陰ながら祈っていたいと思います