究め道

色々感じた事を書くブログです

最早風物詩と化す

プロ野球日本シリーズも閉幕し、オフシーズンですね。

オフになると話題になるのはFA選手の動向。

それぞれの思惑や駆け引きがあるので、簡単に決まる事はないですが

先日西武に所属していた森がオリックスへFAで移籍する事が決定、

オリックス側が発表しました。

 

FAとはフリーエージェントの略で、

FAの権利を取得する迄は所属する球団のみと契約交渉をしますが、

FAの権利を取得し、且つ行使する事を宣言すると

全球団との契約交渉が可能になるシステムです。

簡単に言うと、自身が希望すれば他球団に移籍する事が可能になるものですね。

 

FAは30年前の1993年に初めて導入されました。

当初はスター選手だった落合が巨人に移籍する際にFAを利用されて

脚光を浴びるシステムになったと思います。

先に導入されたアメリカではFAを含めて活発に選手の移籍が行われますが

日本ではトレード等の移籍はプラスのイメージで語られるケースは少なく

FAも同様にマイナスイメージが先行している感じです。

FAが選手の権利である事は世間的にも浸透しましたが、

それでも他球団に移籍するというのは戦力ダウンに直結する話なので

まだまだファンも割り切って話せる人は多くないのではないでしょうか。

他球団ファンなら「仕方ないよね」と言えても

自身の応援する球団だったら同じ気持ちで同じ言葉が言えるかどうかは

人によって違うだろうな、と思いますね。

 

ちなみに、自分がほんのりと応援している西武は

FAで他球団に移籍する所謂「FA流出」の人数で12球団イチ。

今年の森で流出した選手は合計20人になりました。

FAを宣言出来る選手は基本的に主力かそれに準ずるレベルの選手たちなので

30年間で20人の主力クラスが出ていく、というのは

あまり芳しい話ではないと思います。

しかし、ファンの中には達観した人もいて

「〇年後にFAの権利を獲得したら出ていくんだろう」と

半分やっかみ半分悟りの境地で言う人も。

自分もあまりに多くの選手を流出し続けているので、

流石に心が揺れ動かされる事は正直なくなりましたね。

「またか」くらいの気持ちです。

 

昔アメトークチュートリアルの徳井が広島カープ芸人の回に

「ウチの球団は年俸1億円を超えるとお迎えが来る」と自虐的に言っていました。

当時は広島があまり金銭面で潤沢でなかった為、

経営維持の観点から主力選手であってもFA宣言をしたら引き留めない方針でした。

(現在は方針が変更されていると思います)

しかし、実際に広島から他球団に移籍した選手は9人。

『広島が貧乏球団で、お金が欲しくて他球団に移籍する選手たち』という

イメージは確かにありますが、実際にはあまり多くないんですよね。

しかも、自虐的に語っていたのは2012年頃の話ですが、

以後広島は経営努力によって新球場やファンの新規獲得にも成功。

選手の流出をかなり食い止めている事にも成功しています。

2013年以降のFAによる流出は

大竹(→巨人)、木村(→西武)、丸(→巨人)の3人のみ。

木村はFA宣言で獲得球団がなく、西武が拾った形なので実質は2人ですね。

FAに関するイメージの脱却に成功した球団と言って良いでしょう。

 

一方、広島の倍以上の選手流出が続く西武は

確かに経営母体の西武グループが売却の噂が出るなど経営面の不安定さもありますし

流出した選手たちからの本音は聞けませんが

球団の体質・空気感がダメなのか、所属する場所・土地がダメなのか

選手間の問題があるのか、憶測の域を出ませんが

流出の対策を分かりやすく講じている様には見えません。

渡辺GMが就任して幾らか改善されたとも言われていますが、

それでも今回の森だけではないので根本的な問題がありそうな気はしています。

 

流出した選手のポジションに若手・中堅の選手が台頭する事で代謝を繰り返す

と言えば聞こえは良いかもしれませんが、

西武の育成が近年ではあまり成功している様には見えないので

その部分でもだいぶ陰りを見せている様な気がしますね。

流出に関しては最早風物詩の様相なので何とも思わなくなりましたが、

それよりも「他球団の草刈り場」扱いをされるのは御免です。

それでは球団に対する魅力は皆無と言って良いので

何とかしてもらいたいものです。

 

一方、日本一になったオリックスはFA市場ではかなり活発に活動中。

近年の投手育成に定評があるからか、魅力を感じる選手もいる様です。

注目される事でチケット販売を含めた収益の向上も見込めますし

まさに典型的な好循環と言えるでしょう。

ソフトバンクが球団経営をする様になってから積極的な投資を繰り返していますが

プロ野球が人気・資金面共に巨人一強の時代は昔の話。

こうやって他球団が奮闘している姿を見ると

市場としては成熟化した、と判断するのが正しいのかもしれませんね。

野球好きとしては、シーズンだけが野球ではないので

こういうところにも注目しています。

末永く競技が繁栄してくれる事を願うばかりです