究め道

色々感じた事を書くブログです

根尾君の未来

最近ですが、ネットの記事を中心に見かけるのが

中日・根尾が投手転向を立浪監督が示唆した、というニュース。

立浪の監督就任は中日ファンの間では悲願でしたが、

就任当初の位置づけとして根尾の処遇をかなりマスコミが追っていた印象で

中日のチームカラーの変化と共にかなり注目されていました。

当初は野手としての期待を伺わせていましたが、

ここに来て方向転換を決意した様ですが

かなりこの決定にもOBやファンからは賛否両論ある様で。

自分は中日ファンではありませんが、根尾は気になる人物なので

今後どうなっていくのかを見守ろうと思っています。

 

簡単に紹介すると、2018年のドラフト1位で大阪桐蔭高校から入団。

当時の大阪桐蔭高校野球界でも逸材揃いの年で、

同じ年に同じ高校からドラフトで合計4人が指名されるのは歴代最多タイ。

そのチームの主将が根尾で、能力の高さと真面目な性格から

中日を含め4球団が指名で競合。

本人の地元が岐阜県だった事もあり、中日が交渉権を獲得した際には

相思相愛だった、とも評されました。

高校時代は投手と遊撃手を兼任。

現在まで目立った成績を収めている訳ではありませんが、

高校時の良いイメージとポテンシャルの高さから

入団4年目の現在でも一挙手一投足がかなり注目されている選手です。

 

ただ、ここまでの道のりは決して順調とは言えず。

本人が打撃面で苦労していると報道にありますが、

高校時代に投手と野手の兼任をしていた事もあって

野手として1人前に仕上げるのは時間がかかると見られていました。

それに痺れを切らしているのか、ネガティブな報道もちらほら。

ファンの期待をよそに、決して満足いかない現状に

恐らくですが、本人も忸怩たる思いだと思います。

 

自分が端的に感じるのは「師に恵まれていない」という一点のみ。

高校時代の恩師・西谷監督は根尾に対するインタビューで

「自分が何もしなくてもチームがまとまっていたのは根尾が居たから」

と言っています。

それを表すエピソードですが、練習試合を午前中に行い

チーム全体で昼休憩をとっていた時の事。

チームメイトは試合の反省や談笑をする中、

根尾はいち早く食事を終えてグラウンドを整備し始めたらしく

それを見たチームメイトは

「キャプテンが整備してるのに俺たちがダラダラする訳にはいかない」と

後を追う様に動いていた、とか。

西谷監督は何も言わなくても模範的な行動を常にしてくれる根尾が居るから

自分が口出しをする必要がなかった、という訳ですが

冗談っぽく「生徒に"さん付け"をするのは根尾だけ」という程の優等生でした。

彼からするとそれを狙って行動していたというよりは

黙々と自分の中の最適解をこなそうとしただけだと思いますが、

背中で語る彼の姿に何も感じない同級生・下級生はいないでしょう。

 

ただ一方で西谷監督は「根尾は不器用な子」だとも評しています。

天才肌のタイプではなく、しっかりと鍛錬を積んで上達するタイプの様で

本人がチーム内で頭角を現す様になったのは入部後すぐではなかったとか。

上記のエピソードから連想すると、チーム全員がまとまって整備をすれば

すぐに終わるものなのに、自ら声を掛けるのではなく

やっている姿を見せて周りを誘うというのは不器用な姿、とも言えます。

ただ、本人は非常に真面目なので、行動自体が常に正しい事をしている為に

見習うべき見本として敬われていたのだと思います。

 

プロの世界において、この「真面目」という性格は

良い面もあれば悪い面でもあるのです。

大谷翔平やヤクルト・村上が早くから成功したのは、

勿論自身の努力がベースにはあるのですが、

様々な人からの助言をいかに上手に取捨選択出来るか

というのがとてもうまいのだと思います。

2人のエピソードでよく聞くのが「話は聞くが、納得しなければ実践しない」

という話。

言い方を変えると"聞き流す力"に長けているという訳です。

プロ野球界において、所属する監督・コーチだけでなく

過去のOB等も含めると、アドバイスをくれる人は数え切れない程います。

アドバイスは基本的に全員が同じ事を言う事は考えにくいので

根尾は上記のエピソード等から想像するに

話を素直に聞きすぎて何を実践すべきかがわからず

迷路に迷い込んでいるのでは、と想像します。

彼の性格からするとそれは仕方のない事かもしれませんが、

出来ない以上周りの人間が配慮すべき事かな、と。

そういう意味で、最初に述べた「師に恵まれていない」と思う訳です。

菊池雄星も同様のタイプで、素材は素晴らしかったものの

芽が出る迄にはかなりの時間を要しました。

菊池は投手専任なのは明らかでしたが、

根尾は加えて「投手か野手か」という複数の選択肢があり

あっちがダメならこっちはどうだ、とたらい回しにされてしまって

結果的にブレイクするに至らないのかな、と。

アドバイスをする人間は基本的に良かれと思ってしている訳で

邪魔をするつもりはないのでしょうが

結果的に彼を窮地に追い込んでいるのを知る必要はあるでしょう。

賢明な人であればある程彼に近寄って何かを言う事をしていないのは

根尾よりも前に才能溢れる人間が同様の事柄によって潰れていく様を

近くで見てきてるからだと思います。

 

かなり長文にはなりましたが、根尾は高校時代からその性格もあって

かなり多くのファンから見守られています。

他の選手であれば、ここまでフォーカスされる事はないでしょう。

言ってみれば、それが彼のキャラクターであり

一言で表すなら"スター性"なのです。

ファンは真面目に努力した上で華々しい舞台で活躍するというストーリーを

頭の中に描いて待っています。

それはある意味彼にしか出来ない事。

後はその期待に応える事が成功への最短ルートです。

その為にも根尾には頑張って結果を残してもらいたいですし、

不器用ならば不器用なりに生き抜いて欲しい。

そして、周りの人間に恵まれる事をいち野球ファンとして切に願います。

 

世代の中心人物として、幸あれ!