究め道

色々感じた事を書くブログです

松ヤニ問題に思うこと

MLBで現在1番の論争になっている「松ヤニ」。

簡単に言うと滑り止めの役割を果たすものです。

これが何を意味するかというと、

最近よく耳にするボールの回転数に影響を及ぼします。

ざっくりと説明すると、ボールの回転数が多いほど

一般的には抵抗力が増すので、ストレートがよりノビが良くなったり

変化球のキレが増したりする、という事です。

(厳密に言うと回転軸も問題になりますが、今回の説明では割愛します)

 

回転数も含めてですが、球速・球の出どころなどが「平均的」であると

打者からすれば見慣れたボールなのでアジャストしやすくなりますが

その平均から大きくはみ出す様なボールを投げる人は

一般的に攻略が難しい、と言われます。

また、プレイヤーとしては当たり前かもしれませんが、

長きに渡ってプレーする為には己を高める行動をとるので

平均よりも劣る様な行為は自らは選択しないでしょう。

つまり、打者であれば飛距離が出る様にトレーニングするでしょうし、

投手であれば球速や回転数を高める様に日々努力をする訳です。

球速についてはトレーニングをしなければ大幅に上昇する事はありませんが、

滑り止めをつけてボールを投げる事については

言わばチート行為に近いものでもあるので

一般的には松ヤニの使用を禁止している、というのが表向きなのですが

実際にはMLBではグレー決着になっているというのが実情です。

 

何故グレーなのか?というと、過去のオリンピックなどの世界大会に出場している

選手たちの言葉から読み取れる情報としては

「日本のボールよりも国際球は滑りやすい」というもの。

日本ではミズノをはじめとして複数の企業が硬式球を製作、

プロ野球でも球団によってボールを選ぶ権利を認めているので

一部の選手が不利益を被る様なボールはあまり選ばれない状況になっています。

(低反発球が一時期問題になりましたよね)

それに対して、MLBでは試合に使用されるボールはローリングス社に限られています。

製法等については自分も詳しくはないのですが、

昔からずっとメジャーのボールは滑ると言われている中

1社の寡占状態なので改善が生まれる様な状況ではない、

というのが今回の1番のポイントになっている、という訳です。

昔から言われているのにボールの改善が行われないなら、

公には認めていないものの、滑り止めに対する規制を

多少甘くする事でグレー決着をしていた、という経緯です。

 

ダルビッシュが盛んに訴えている部分というのは

「今までグレー決着をしていたのに、打者の数字が悪くなった事を

松ヤニのせいにして規制を強くするならボールも何とかして欲しい」

ということです。

ボールが滑る、というのは実は投手にとって非常に厄介なんです。

回転数の問題は上記の通りですが、

ボールが滑るという事は制球にもかなり影響します。

ストライクゾーンに収めるだけでは投手は打者を抑えられません。

だからこそ精密な制球力が必要な訳で、

この部分に多くの投手は苦しむのです。

ただ速い球を投げたり、メチャクチャ曲がる球を投げればOKではないのです。

また、滑る球を操る為に指先を繊細に使用する訳ですが、

昨今の国内外の投手たちが相次いで肘を故障してトミージョン手術を行っているのと

今回の話が無関係とは言えないと個人的には考えています。

指先を扱う上で肘にはかなりの負担がかかっているのは事実なので、

選手生命を左右する事象の要因がボールにある、と結論づけられたら

どう対処するのか?と個人的には思います。

(肘の故障については、ボール以外にも要因があるのは当たり前ですが、

無関係ではない、というのが言いたいのです。

個人的には投手の平均球速が上がっている事に肉体(靭帯)が

悲鳴を上げている、とも考えていますが、今回の話とはズレるので割愛します)

 

色々な職種において現在機械化が進んでいますよね。

昔は手書きだった資料がパソコンで入力・管理が出来る様になったのは

言うまでもありませんが、

道具というのは日々進化していくものな訳で。

今回の松ヤニ問題の根本は、昔から言われている滑るボールの対処。

簡単に結論付けるなら「滑りにくいボールを開発すれば良いんじゃない?」

という事です。

勿論、道具が変わるというのはスポーツとしての特性を変えてしまう

危険性もあるので、安易には解決しない話です。

しかし、世の中が変化し、色々な物が進化しているので

化石化しない為にも議論は必要なのではないか、と思います。

しかも、昔から言われている問題ですからね。

 

東京オリンピックに関してもそうですが、

こういうところでつまづいてしまうと、

利権があるのではないか、とか穿った見方をされても仕方ないですし

自らの潔白を証明したいのであれば、批判も覚悟の上での英断も必要でしょう。

色々な情報が簡単に手に入る現代だからこそ、

運営側がしっかりとした対処をしていただきたいものですね