究め道

色々感じた事を書くブログです

告白へのハードル

前回の内容の続き。

数日経ってですが、大坂なおみの記者会見拒否の理由が

うつ病ゆえに自分のメンタルが崩れてしまう事を懸念して、

という内容でしたね。

勿論病気である事を知って驚きもしましたが、

数々の言動や取り巻く環境を振り返って考えてみると

平静を保って過ごす事が難しかった事は想像に難くないと思いました。

 

元々実力はあったのかもしれませんが、精神的な未熟さ故に

安定した成績を収められなかった彼女が

四大大会優勝という偉業を成し遂げた事で

観客・スポンサー含めて彼女の身の回りの人たちの接し方というのは

彼女からすると「突然」変わったのではないでしょうか。

また、決勝の相手が尊敬するプレイヤーだった事も

単純に勝てた喜びだけではなかった様に思います。

試合後の公式会見でセリーナに記者が引退について聞いて来た事から、

もしセリーナが辞めると発言していたら

「自分のせいで…」と自責の念に駆られていただろうな、とも想像出来ます。

そういったところからメンタルに不調をきたす事が出て来た上に

有名人ゆえの注目度の高さが余計に緊張を生む結果となって

悪い方向に物事が進んでしまったのかな、と推測します。

我々の様な一般人には到底理解出来ないものなんでしょうね。

 

過去に自分もそうだったので、その経験から言わせてもらうと

精神の病は表面的には表れづらい上に

まだまだ偏見に満ちている状況です。

それは今回の一連の流れを見ると、日本国内だけではなく

世界中で理解されている状況ではないのはわかるでしょう。

なので、基本的には他人にカミングアウトはしたくないのです。

また、この病気は脳科学的に言うと情報伝達物質が

充分に分泌されない状況の事を指しているのですが、

病気の症状の1つとしてとことんマイナス思考になってしまう

という特徴があります。

簡単に言うと、カミングアウトをした事で、その相手がどう返答しようが

好意的には受け取れない心理状態だという事なのです。

よく言われる「うつ病患者に『頑張れ』は禁句」という言葉がありますが

好意的に受け取れない(それが重圧に感じる)ので、

寄り添ってあげるのが1番の対処法なのです。

 

プロスポーツ選手としての期待、スポンサーに求められる清廉性、

自分は知らないが、相手は自分の事を知っていて

その人たちから浴びせられる声。

うつ病は真面目な人がなりやすいと言いますが、

まさに彼女は「良い人」を求められ、いい加減な対応が出来ずに

心を擦り減らしてしまったのではないかな、と想像します。

 

人間は顔や声、性格など2人と同じ人はいない訳で、

それを尊重する・リスペクトして接する事が大事だと個人的には思います。

(勿論、許容範囲を超える相手(例えば犯罪者など)には

厳重な対処をすれば良いと思いますが)

ただ、今のこの世の中はまだまだ色々な偏見がある訳で。

わかりやすい例で言うなら容姿での偏見ですね。

彼女で言えば、日本人とアメリカ人のハーフであり

幼少の頃から周りと同じ様に接してもらえる状況ではなかったでしょう。

海外で白人と黒人に差別がある様に

日本の中でもまだまだ差別がなくなったとは言い難い状況です。

自分が学生の頃も、ちょっと太ってるから、とか

そんな些細な理由でいじめが起こる事もありました。

人間は、似ているものに共感し、そうでないものには排他的になる生き物です。

頭では「仲良くしなければ」と思っていても

本能的に差別をしてしまうんですよね。

残念ですが、これからも含めてこの問題はずっと続く話でしょう。

ですが、だからといって放っておいて良い問題ではないのも事実。

何事もそうだとは思いますが、差別をなくしたいと思うのであれば

大人が子供に手本を示せる様に振る舞う事が

改善の第一歩であり、それを続ける事が1番大事な事です。

これが当たり前に出来る様になると、

恐らくですが今回のメンタルに関する一連の問題も

解決への糸口が見えてくるのではないでしょうか。

病気への差別・偏見がなければ、少なからず今よりは疾患者が過ごしやすくなり

それがカミングアウトへのハードルを下げる事にも繋がるでしょう。

後は、本人が言いたくなるまで追求しない、というのも大事かと。

最近は正義を振りかざして追い詰める様な事をする人が多いのが気になりますが。

 

今回は病気の告白、というのが主題として考えましたが

こういうケースになると、どれだけ他人に対して寛容になれるか、とか

相手の事を考える、とか

色々複雑な要素が絡む話になるので難しいテーマですね。

自分も気を付けているつもりではありますが、

公私共に1人で何でも出来る訳ではないので

周りの人たちの言葉や意見に常に耳を傾けられる様に努めたいですし

その精神状態を如何にキープする事が大事か、という事を

身をもって感じています。

勿論他人に強要出来る話ではありませんが、

少しでも生きやすい世の中になって欲しいですね