究め道

色々感じた事を書くブログです

日本の『野球』の神髄

昨日は疲れていた事もあり、寝る前に気分転換に

youtubeで野球の動画を観ていました。

色々な動画があるもので、懐かしさも感じながら観ていましたが

そこから見えるのは、日本の野球と世界のベースボールの違いでした。

 

アメリカをはじめとしたベースボールは、やはりパワー系と言うべきでしょうか。

技術的なものも勿論たくさんあるのですが、

フォーカスされるのは160kmを投げるとか

特大ホームランを打つ、という部分です。

野球の華とも言えるところなので当たり前ではありますが、

気になる点といえばチームよりも個人が優先されること。

チームスポーツですし、選手は「チームの勝利が大事」と言いますが

一方で成績を残せないと稼げないので、個人主義に走りがちなところが

今でもなお残っているのは、恐らく文化の違いではないかなと思います。

 

日本の野球は、海外にはない中学生から『部活』というものがあり

集団生活をする事が当たり前、という文化です。

指導者の方針もありますが、大会ではトーナメント形式が多いので

「いかにして勝利を収めるか」を幼い頃から教えられているので

1点を取ること、余計な失点を防ぐことを大事にしています。

ここが海外との大きな違いではないかと思っています。

 

WBCやプレミア12などの国際大会で日本が活躍しているシーンを

集めた動画などを観ていると特に感じるのが

日本の野球が海外のものとはかなり違うんです。

以前ここで第3回WBCの台湾戦のワンシーンについて触れましたが

情報をしっかりと収集した上で、点を取れる方法を実践するというのは

簡単な様で難しい事なのです。

他の国が何故真似をしないのか?と疑問に思う方もいるかもしれませんが

これこそ日本特有の野球に対するアプローチなんです。

日本人だと上手い子がやるポジションは確実にピッチャーですが、

アメリカをはじめとした海外の選手は、

基礎能力が高いとショートに据えようとするんです。

日本人は野球というスポーツの軸をピッチャーに置いていて、

ピッチャーが抑えてくれたら、ロースコアの戦いになる。

その上で1点をどう取るか。この戦術に腐心しているのです。

対してアメリカを含む海外の考えは、

恐らくですが相手よりも1点でも多く取る、という事に主眼を置いているので

根本的に考え方が違うのです。

5点取られても6点取れば良いじゃないか、という考えですね。

 

幼い頃からどうやって1点を取るか、と考えている日本の野球は

相手を観察した上で、どこから崩すかを常に考えています。

最近で言えばソフトバンクの周東が台頭しましたが

彼が一躍脚光を浴びたプレミア12でのシーン。

代走で1塁ランナーとして出場すると、二盗・三盗を決め

西武・源田がツーアウトからセーフティーバントをした際に

ボールを捕球したピッチャーのタッチをかいくぐって1点を取ったシーン。

あのシーンはまさに日本野球の象徴ではないかと思うのです。

周東は「源田さんが何かしそうな気がした」と言っていますが

源田も「相手の守備位置を確認してバントをしたら何か起こりそうだと思った」

と発言しています。

このワンプレーがノーサインで行われた、つまり

選手間の阿吽の呼吸によって生まれたシーンだったんです。

個人の感性で出来たものではなく、

チームとして共有していたイメージなので

ここにこそ日本野球の神髄が垣間見えるのではないかと思います。

これは日々の鍛錬がなければ難しいプレーなので

海外のチームは真似したくても出来ないのです。

こういったものを凝縮したものが「スモールベースボール」なのであって

ホームランを捨ててバントをする、という単純なものではないのです。

 

日本の野球の緻密さは海外と比べても群を抜いています。

それは文化を含めた特殊性。

勿論海外の野球を否定するつもりはありません。

寧ろ、パワー・スピードが大型化する現代において

そういった事を追求しなければ勝利を得る事が難しい時代です。

とはいえ、日本の特殊性は失って欲しくないですし

海外の文化も取り入れながら、日本の野球の強さ・面白さを

ずっと継承してもらいたいものです