究め道

色々感じた事を書くブログです

スポーツにおけるトレーニングの是非

近年筋トレがブームなのはここで挙げる程ではないかもしれませんが、

コロナ禍になった事で健康を意識する人は間違いなく増えたことでしょう。

youtubeを含めた色々なコンテンツで筋トレの情報が手に入る現代において

自分が鍛えたい・シェイプアップしたいと思っている箇所を

簡単に情報が入手出来るのは、単純に良いことだなぁと思っています。

 

ただ、スポーツ界においてトレーニングというのは

なかなか一般的には公開されにくい部分でもあります。

というのは、一例を挙げると野球において

昭和の時代は「筋トレは悪」とされていたのが前提としてあります。

今の若い子からすると考えられない話かもしれませんが、

筋肉を下手につけると可動域が悪くなり、

結果としてパフォーマンスが下がる、と言われていたからです。

しかし、どちらが発祥だったかは不明ですが、

高校野球で筋トレをして身体を鍛える事が

飛距離アップと長時間練習に耐えうる身体作りとして浸透したり、

プロ野球でも金本氏がオフシーズンに筋トレをして

屈強な身体を作り上げる姿を公開する事で

徐々に一様な悪とは捉えづらい環境になってきました。

近年ではトレーニングも科学的に行う事をかなり推奨されていますし、

その最たる例は大谷でしょう。

1年間二刀流を実現する為に物凄い身体作りをしていましたが

張本氏の様に「プロレスラーじゃないんだから」と否定的な意見も出るなど

今でも是と非が入り混じる状況ではあります。

 

野球の様なスポーツは球を早く投げる、遠くに飛ばすという

瞬間的に最大限の力を発揮する必要があります。

その為には筋肉の肥大化はやはり必要である、というのが現在の定説です。

(サッカーやテニスの様に常に動き回るスポーツでは

違う筋肉を必要とする為、今回の話とは変わるので今は除外します)

しかし、自分が気になっているのは近年パワーとスピードが大型化する事で

トミージョン手術を含めた故障もまた増えている、という事です。

トミージョンは肘の腱の移植手術の事ですが、

ボールを投げる際にかかる肘への負荷に腱が耐え切れずに

損傷してしまう事で手術を余儀なくされる訳です。

アメリカに端を発した球数制限が、この肘を含めた故障を守る為の措置として

一般化されていますが、それでも再建手術は後を絶たない様に感じます。

昔はトミージョン手術は成功率が低かった為、

「肩と肘を怪我したら終わり」とすら言われていました。

現在では治療方法が確立されたのは喜ばしいことですが、

手術を受ける人が増えている現状については心配の一言です。

 

自分の仮説ではありますが、昔のプロ野球選手に比べて

投手の平均球速は間違いなく向上しています。

これは筋トレによる効果とみて良いと思いますが、

手術を受ける人数が増えているのは

物理的に肉体へのダメージが増えているからではないか、と思っています。

筋肉は鍛える事で怪我を防ぐ事は出来ますが

腱は基本的に消耗するだけなので鍛えようがないのが現状なので

球速が上がるというのはロマンであると同時に

怪我の潜在リスクを上げる事にも繋がるのではないかと思うのです。

プロ入りする少し前までは野手だった、というエピソードを持つ選手が

大きな怪我をあまり経験せずに過ごせているのは

幼少期にたくさん投げる事がなかった為に

「消耗品」と考えられる肩・肘への負担が少なかった、と仮説を立てると

なんとなく腑に落ちる結果かな、と。

勿論、体質的に怪我をしにくい人がいたりもしますし

一概に言えないのは承知の上での仮説です。

(自分の仮説ですが、山本昌氏が50歳まで投手で居られたのは

学生時代に大きな成績を収めなかった為に消耗されなかったこと、

球速の遅さが有名ですが、それ故に肩・肘の大きな故障がなかったのでは?

と思ったりもしています。またワールドウイングで初動負荷トレーニングを

しっかり積んだ事もその一因でしょう)

 

アスリートの方々は肉体を酷使する人がほとんどだと思います。

華やかな世界である一方、身体がボロボロになってしまうと

引退後の人生として大丈夫なんだろうか?と

他人ながらに心配してしまう事もあります。

活躍をする為にトレーニングをする事は当たり前だと思いますが、

怪我や引退後の人生を考えると、

スポーツ選手が安易に「トレーニングをしなさい」と勧めないのは

そういう観点からなのかもしれない、と思うと

スポーツの裏側の様な感じがして複雑な気持ちになりますね。

何も気にせず応援出来たら、とも思いますが

なかなか簡単な問題ではない様に感じます