究め道

色々感じた事を書くブログです

一時代を築いた男

野球の話が続いていますが、この話は避けて通れないので

野球の話を連投します。

 

松坂大輔の今季限りでの引退発表。

ここ数年は1軍での登板も少なく、怪我との闘いだったのは

容易に想像出来る状態ではありましたが、

本人が去年までは頑なに現役続行の意思を示していたものの

遂に…というのが率直な感想ですね。

 

若い子は知らないとは思いますが、

自分は松坂の1歳上という同世代なのもあって

リアルタイムで彼が躍動する姿を目の当たりにして来ました。

高校時代は自身の最高学年時は公式戦無敗という

とんでもない記録を打ち立てたチームの中心だったこと、

入団初年度に、当時日本球界で無双状態だったイチローとの対決で

「自信が確信に」というインタビューエピソードは説明するまでもなく全国に轟き、

WBCという野球の世界大会で第一回・第二回と優勝した立役者としてMVPに。

30歳までの彼の姿というのは、今の大谷フィーバーに匹敵する凄さでした。

完投する事を是とするスタイルで、

先発投手が100球を目処に降板する現在の野球観からはかけ離れた姿は

周りから見ても異質な存在だった事でしょう。

 

一方、練習が嫌いなエピソード、不摂生な生活が度々披露されるなど

ストイックに追及するプレイヤーではなく

ある意味ずっと「野球小僧」だったという様な人物でしたね。

そういうところも含めて、昭和の時代のプロ野球選手というイメージです。

(才能が飛び抜けていて、アスリートというより職人というところがそう感じます)

 

また、彼の同級生も凄いプレイヤーが多いのも。

高校生の横浜高校の同級生でプロ野球入りしたのが

4名というのも異例中の異例ですし、

打倒・横浜高校を掲げて戦ったプレイヤーで名立たるところを上げると

杉内・和田・村田・藤川・久保田・東出・木佐貫・館山・小谷野…etc

ライバル心剝き出しで争っていた事だろうと思いますが、

それをけん引していたのは間違いなく松坂だった、と言って良いでしょう。

多くの名プレイヤーを輩出したこの年の中心人物としても

彼の貢献度の高さの1つの指標となるのではないでしょうか。

 

晩年が怪我との闘いだった事は、華々しい世界しか見る事の出来ない

一般人からすると想像も出来ない苦悩の連続だった事でしょう。

自分も高校時代に肘を怪我した事があり、

半年くらいは制限された活動しか出来なかった経験がありますが

そんな経験が薄っぺらく感じてしまう程の苦労をしたのではないかと思うと

凄かった姿を知っているだけに切ない気持ちにさせられます。

怪我というのはそれだけ残酷な話であり、

話は逸れるかもしれませんが大谷も怪我には気を付けて欲しいと願いつつ

怪我から復活して不死鳥の様にまた蘇る姿を期待していたファンは

松坂の復帰が叶わなかった事に心中穏やかではいられないでしょう。

 

王・長嶋が凄かったんだと親世代に聞かされ

そうは言ってもプレイする姿を見ていないのでわからなかった自分が

今の若い子が「松坂って凄かったの?」ともし聞かれたら

どう答えるのが良いのだろうか?と考えた事があります。

百聞は一見に如かず、とは正にその通りだと思うと共に

現役の、しかも時代を席捲した頃の姿を見られた幸せ、

それを噛み締めながら語り部になれたらな、とちょっと思ったりします。

 

今は大谷が凄い活躍を見せていて、

それをリアルタイムで観られる事に幸運を感じていますが、

一般人の細やかな幸せを長く感じられる様に

これからも野球を見守っていきたいと思います